今回は、全国の研修医がほぼみんな持っているといっても過言ではない、『内科レジデントの鉄則』を読んでみた感想についてお話しさせていただきます。
内科レジデントの鉄則
研修がハイパー(忙しい)ことで有名な聖路加国際病院の内科チーフレジデントの先生が作った参考書が今回ご紹介する『内科レジデントの鉄則』(Amazon, 楽天)です。この参考書はリアルに研修医全員が持っており、いわゆるデキるレジデント(デキレジ)になるためには登竜門のような参考書です。
読むべき人
とても良い参考書ですが、この本をおすすめできる人とできない人がいます。
オススメできる人 | オススメできない人 |
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研修医以上 内科志望 デキレジになりたい人 救急外来や当直に関わる人 | 学生 |
多くの人におすすめできますが、学生さんには正直おすすめできません。本参考書は頻度や緊急度が高いものに重点を置いて説明がされており、実際の投与量や投与方法にも言及されています。学生にとっても学ぶことが多いとは思いますが、まずは国試レベルの知識を幅広くつけることの方が重要です。細かい対応方法や処方について学ぶより、疾患の知識を幅広く学ぶ方が後々の伸び代に繋がると思います。国試の勉強が余裕すぎて暇を持て余している人は読んでみても良いかもしれません。
良い点
実際に読んでみて、良かった点は大きく以下の4点です。
- 当直や救急外来において、頻度や緊急度が高い症候が網羅されている
- 鑑別方法や必要な検査に加えて、具体的な治療法にまで言及されている
- 覚え方も載っており、身につけやすい
- みんなが読んでいることから共通言語として機能する
第一章では頻度・緊急度が高い症候が網羅されています。下の写真が第一章の目次になります。
『内科レジデントの鉄則 第4版』より
救急外来や当直をこなす上で、非常に重要な症候が網羅されています。実際わたしが最初に入った当直で、最初に受けた病棟コールは発熱でした。それに対する具体的な鑑別、必要な検査、治療法が書かれており、読んだその日から臨床で役立ちます。分量は比較的多めですが、簡単な覚え方も載っており、多くの人にとって身につけやすいはずです。実臨床では、コールを受けてからペラペラと教科書を開いている時間はありません。おおまかな流れは頭に叩き込んでおくと、いざとなった時に動きやすいはずです。そして最後に一番のメリットだと感じたことは共通言語としての機能です。この参考書は今の研修医だけでなく、上の先生たちも読んでいる方が多いです。つまり、『こういう時はこうだよね』という臨床での常識に色濃く影響しているのです。この参考書を読むことで、上級医の先生が何を考えているかがわかりやすくなり、共に議論する際に非常に参考になります。
読んだ後
教科書を読めばそのまま実行できるかというとそういうわけではありません。どの参考書にも言えることですが、身につけるためには下図のようなサイクルが重要になります。
何度も読むことで内容を頭に叩き込む
教科書で覚えた内容を実践する
教科書の内容をどの程度実践できたか、次に活かす反省は何かを考える
ここでもう一度見返すとより深い理解を得ることができたり、最初に読んだ時には読み飛ばしてしまっていた重要なことに気付けたりする
このサイクルではSTEP3として“自身の”対応としましたが、実際は研修同期や他の先生方の対応からも学ぶことができます。他の先生が経験したことについて、自分だったら何ができたのかを想像し、その評価・答え合わせをすることで他人の経験を自分のものにすることができます。こうして多くを吸収することでより早く成長できるのではないでしょうか。今後も初期研修で有用な情報を発信していきますので、ブックマークやX(旧Twitter)のチェックをよろしくお願いします。
以上、『【必読】研修医おなじみのあの参考書は実際どうなのか』という話題でした。
駆け出し医師Dr. K
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