初期研修医、内科救急の1ヶ月間

    サムネイル画像は休日にピクニックに行った時の写真です。今回の記事では内科救急の振り返りをします。月に3日くらいしか休みがなかったり、残業もあったりと忙しい日々ではありましたが、結論から言うとピクニックをするくらいの時間はありました。医学生にとっては初期研修のイメージを膨らませることができると思いますし、初期研修医以上の先生方は自身の病院と比較して色々と考える部分があると思います。

    目次

    内科救急

    当院のプログラム

    多くの病院の初期研修医は、内科を診療科ごとに回ります。例えば循環器内科と呼吸器内科を2ヶ月ずつなど、期間を決めて研修をすることが多いです。しかしながら当院のプログラムは少し変わっており、内科研修中に回る診療科は決まっておらず、救急外来の当番日のみが決まっています。そして救急外来で診た患者さんのうち、入院になった患者さんを受け持つのです。それによって以下のようなメリット・デメリットがあります。

    メリットデメリット
    主訴から診断を絞るプロセスを学べる
    入院の適応、手続きを学べる
    初期対応から退院まで一貫して診られる
    病棟管理で必要なことを学べる
    やる気があれば色んな患者さんを受け持てる
    診療科を満遍なく診られるとは限らない
    外科に転化すると退院まで診られない
    上級医の先生がバラバラになる

    私の場合、研修が始まって3週間くらいは神経内科の患者さんがかなり多く、学べる診療科に偏りがありました。後期研修で内科専門医を目指す場合、幅広い疾患をj-oslerに登録する必要があります。初期研修の症例も利用できることから、初期研修のうちから意識して症例を診たいと考えていました。そういった話をしていたからか、研修が始まって3週間を過ぎて慣れてきた頃、当番などでお世話になった先生から直接お話しをいただき、珍しい症例や興味深い症例を紹介していただいております。教育に対してとても積極的な先生が多く、本当にありがたい限りです。

    研修概要

    救急の患者の来院方法には大きく二種類があります。

    • 徒歩(ウォークイン)
    • 救急搬送

    ウォークインの症例は基本的には一人で問診・診察を行い、処方や方針を決定した後、上級医の先生に報告をします。最初はわからないことだらけですが、看護師さんや上級医の先生方にも聞きながら対応します。救急搬送の症例は、基本的には上級医の先生と一緒に診ました。救急当番は週に2,3回で、この1ヶ月では症例数としては20件程度を診ました。受け持ちは入退院で波はあるものの概ね5人前後でした。毎日の業務としては受け持ち患者さんの回診と病棟処置で、救急当番があれば救急外来をみます。その他、退院サマリーや診療情報提供書、カンファの準備などの書類業務もあることから今のところ5人くらいでちょうど良いと思っています。研修医2年目の先生方は10人くらいの受け持ちを安定して持っており、最大は20人を超えていたとおっしゃっていたので、本当にすごいです。退院・転院調整が遅れると、当番日の入院数が優ってしまい、内科研修の後半になると受け持ちが飽和するのだと思います。

    1ヶ月で経験した手技

    どんなことが経験できるかは医学生の方々にとっての関心事だと思います。私の病院はそこまで忙しい方ではないのですが、以下のことはここ1ヶ月で経験できています。

    • 静脈採血
    • 動脈採血
    • ルート確保
    • 尿道カテーテル

    私は上記のような手技を経験しましたが、どんな症例を引くかによって経験する手技は異なるので、同期の間でも人による部分は大きいです。また私の病院はあくまで2次救急なので、内科救急外来でAライン確保や気管挿管を行う機会はほとんどありませんでした。そういった手技は外科や麻酔科でやることになりそうです。

    救急外来で重要なこと

    1ヶ月の研修を経て重要だと思ったのは次の3つです。

    • 緊急疾患を除外すること
    • 身体診察をきちんととること
    • 自分で考えた上で報告・連絡・相談を行うこと

    緊急疾患を除外することの重要性は言うまでもないと思います。例え頻度が低い緊急疾患であっても、一見バイタルが安定していても、見逃したら亡くなってしまう疾患は徹底的に除外する必要があります。概ね除外でき、帰宅の方針とした場合にも急変する危険性について説明し、その場合にはすぐに再受診していただくように説明することも非常に重要になります。2つ目は身体診察の重要性です。この1ヶ月の研修で気づいたことは、特にご高齢の患者さんにおいて、主訴が不明確な時があることです。何となく発熱しているものの症状がはっきりしなかったり、症状は訴えているけど理由が説明できなかったりします。全身の身体診察をきちんとすることで疾患のフォーカスを絞れることがあります。ここ1ヶ月の研修だけでも、身体診察をしていなければ見逃していたような疾患をいくつか経験したため、重要なことの一つなのだと考えました。そして最後は自分で考えた上で報告・連絡・相談することです。あえて”自分で考えた上で”と付けたのには理由があります。特に私の病院では人員が少なく、日曜日にいる医師は自分と上級医だけです。あと数年もしたら自分が上級医として救急外来をこなし、日曜日には病棟の急変全てに対応しなくてはなりません。そこで、今の守られている初期研修の時期にこそ、自分の頭をフル回転させて、時には医局の参考書を開いて、対応するべき優先度や方針を考えることが重要なのではないでしょうか。その上で上級医に報告・連絡・相談をすることで、医療安全的に良好な状態になるだけでなく、自分の中で答え合わせができるのです。ただ上級医に聞くよりもはるかに成長できるのではないかと考えており、今後も実践して行きたいです。

    今後に向けて

    私の研修プログラムでは、内科研修6ヶ月間のうちの3ヶ月を最初に回ることになっています。まずはあと2ヶ月、たくさんの症例を経験し、成長していきたいと思います。研修にも慣れてきて時間を作れるようになってきたので、気になっていた参考書も読み始めたいと思います。初期研修で有用な参考書は追って記事にして行きたいと思いますので、ブックマークやX(旧Twitter)のチェックをよろしくお願いします。

    以上、『初期研修医、内科救急の1ヶ月間』という話題でした。

    この記事の筆者

    駆け出し医師Dr. K

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